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私は瑛士と話なんかなにもない。しかもなぜ悠斗さんと過ごしているこんな時に来るのだろう。状況を考えると非常に複雑で、どう対応すればいいのか全然わからない。
悠斗さんが一歩前に出て、玄関に向かった。「僕が帰るように言いますよ」
「いえ、私がきちんと向き合わないと……」
深呼吸をして先陣を切り、私が玄関の扉を開けた。そこには強い目つきで私を見つめる瑛士が立っていた。
「誰が来ているんだ? 男か? 俺に断りもなく部屋に上げるなんて」
玄関に男性用の靴を見つけた瑛士が顔を歪めて怒りを滲ませながら言った。
「誰でもいいでしょう。瑛士には関係ないじゃない。私たちはもう終わったの」
「別れた覚えはない。お前が勝手に言い出しただけだ。今日は両親と顔合わせがあったのに、連絡もしてこないから予定が台無しになっただろ」
なんて言い草! 里枝と浮気しておいて、私がもう無理だって告げて黙って部屋を去ったくせに、別れた覚えはないなんてよく言えるわね!!
私は息を吸い込み、怒りを抑えつつ落ち着いた口調を心がけて言った。
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