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「瑛士。私たちは確かに多くの時間を共に過ごしてきた。本当に好きだったし、あなたとの結婚をずっと夢見ていたわ。でも、あなたの方はそうじゃなかった。里枝と関係を持って、私に対して不誠実だったでしょう。そんな人との幸せな未来図は描けなかった。だから別れたの。もう無理だって言ったでしょ。あなたとの婚姻を続けることも、結婚を考えることもできないわ」
「たった1回の浮気くらいで、そんなつまんねーこと言うなよ! 里枝とはただの遊びだし、もうこれきりにするから。だからさ、機嫌直せよ。な? 俺たちは婚約もしていたし、もうすぐ結婚する。それを今更やめるとか言われても困るんだよ」
「きゃっ」
強引に腕を掴まれた。瑛士の顔が紅潮し、その表情は獣のような野性を帯びてきた。「椿。俺を捨てるなんて許さねえぞ」
その時悠斗さんが玄関の奥から現れ、私と瑛士の間に入ってくれた。
「片桐。椿さんを放せ」
「しゃ……社長!? なんでここにっ」
「随分滑稽な質問だね。僕が椿さんとお付き合いをしているからだよ」
「なっ……!?」瑛士は目を開いて驚いている。
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