【第4話 - 執着者】

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「うーん……まあ普通です。ただ、花小町の売り上げが思わしくないところが心配です」 『そうですか。もし椿さんが許してくださるなら、僕の会社で広告を作成して打ち出しますよ。広告部門に相談してもいいでしょうか? インターネット広告ですが協力させていただきます』 「本当ですか!? とても助かります!」 『サブスク契約しているのですから、椿さんに困ったことがあれば、なんでも僕が手伝いますよ。ですから遠慮なさらず相談してくださいね。僕は椿さんのことも花小町のことも、心から応援していますから』  悠斗さんの言葉に心が温かさで満たされていく。瑛士とのことは少し気になるけれど、悠斗さんとの新しい日常にワクワクしている自分がいた。  花小町まで応援してくれるなんて本当にありがたい。私も悠斗さんのために頑張らなきゃ。彼の初恋の人――きっと素敵な人なのだろうな。応援したい。でも……ちょっと胸がちくちくする。 「悠斗さんの方はいかがですか? 今日はなにか特別なことはありましたか?」 『いえ。特別なことはありませんでした。でも、椿さんの声を聞けるだけで、今日という日が特別な日になりましたよ』  私は思わず笑ってしまった。「あはは、そんなこと言わないでくださいよ。でも嬉しいです」
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