雨の日にとある大きなモノを拾いまして

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通行人がゴミ捨て場をチラと見ながら足早に通り過ぎていて、俺もそこを通りすがりにチラと見れば人がゴミを背に倒れていた。 頭から血を流していて、それだけでも目を引くのにその男は体に西洋の甲冑の様な物を身につけていて腰に剣が下げてある。 コスプレイヤー同士の喧嘩か何かかと思いながらも、このままでは死んでしまうと思い男に近寄りしゃがんで傘を差し出す。スマホを見てズボンのポケットから取り出した瞬間腕を掴まれて心臓が跳ね上がる。 「貴様…人妖か…」 「痛っ…!」 起き上がっていた男に骨が軋むほどの力で握られスマホを落としてしまう。貴様?人妖?まだなりきっているのか?それにしても力が強すぎる…折れる…! 「ゔっ…」 男が反対の手で頭を抑えていて、俺は反対のポケットからハンカチを出して傷口に当てる。いつから出血していたかわからないし、死んでもおかしくないほどの血が出ていそうなものだが… ふと遠くから救急車のサイレンが近づいて来る音がして、振り向けば何人かがこちらを見ていてスマホを向けてきている。面白がって写真でも撮っているのだろうか? 「救急車が来たからもう安心して良い…」 俺が男の方を向けば意識が遠のいたのか俺の腕から手を離し、ゴミの中へとまた倒れ込んでしまった。
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