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「えっ? 桃瀬って腐ってるんだろ?」
そう、生れて初めて告白した、同じクラスの速谷くんに、言われた。
「え、えっ? 腐ってるって?!」
あたしは、訳が分からずに訊き返した。
「いや、だからさ、いわゆる腐女子だろ? 桃瀬。なんで、告ってくるわけ? オレに」
がびょーん!
ちがう!!!
あたしは、BL漫画が好きなだけの、普通の恋愛がしたい女の子だ。
「まあ、冗談として受け取っておくよ。ははは」
そう言って、速谷くんは、去って行った。
な、な、なんで、こんなことに……。
すごく勇気を出して、告白したのに……。
「桃瀬! 腐ってる場合じゃないぞ。この前の数学のテスト結果、赤点だ」
担任のイケメン先生、美田先生が、あたしを見つけて言った。
「先生! 腐ってるって言わないで下さい!」
「いや、だって、桃瀬は、腐女子だろ? 今、まさに気分も腐ってるだろう? 速谷にフラれて」
「先生、見てたんですか?!」
「ああ、見てたよ」
と、言って来たのは、何故か、近くを通りかかった校長先生だった。
「桃瀬くんは、腐女子で、腐っているんだってね。今の女子生徒は腐っている子が多いね」
こ、校長先生……!
何故に、あたしが、腐っていることを、学校中の人が知っている?!
い、いや、腐ってない!
あたしは、BL漫画がただ好きなだけの、健全な女子だっ!
あたしは、大声で学校中に聞こえるように叫んだ。
「あたしーっ! 腐ってませんからーーっ!!!!」
おわり
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