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トコダトコさん ④冒頭その1
スーパーレビュアートコダトコさんDM対談、今回はその5回目。『ビビっとくる』肝とも言える『冒頭』についてです。
……と、その前に少し宣伝を。
ニッコー閣下ことKawasakiKoheiさんの「ニッコー閣下 けっこうかっか」というCDが3月3日にリリースされます。そこの10番目に「トコダトコ・作詞作曲」の「迷い猫のブルース」という楽曲が収録されております。もしよければ、是非。
以上、宣伝ゾーンでした。ではあらためて本題に戻ります。
🛶「先程『冒頭』という話がありました。藤白先生も冒頭の重要性は語っておられましたが、どういう冒頭が好きかとかあります? またはこういうのは苦手とか」
🎸「そうですね。冒頭、書き出し、1ページ目。もうこれは完全に好みの領域かとは思います。この手のtweetをすると毎回プチ炎上を発生させてきてるので、所謂「個人的な見解」として思っていただけると嬉しいです」
🛶「同意です。読書にルールなんてありませんから、あくまで『トコさんの好き』を語って欲しいです」
🎸「まず、1ページ目で「自己紹介」から始まる小説は殆ど読むのをやめる場合が多いです。自分が短編読みであることもその理由の一つだとは思うのですが、その本の物語の中で登場人物の事を文章、比喩、描写で知りたいです。小説なのだから、どうせならそれで人となりを雄弁に語っていただきたいです」
🛶「あーそれは分かりますね。私も過去作で『ほら、あなたと私で戸籍を分けたときに』というセリフで登場人物の二人が過去に結婚していたことを暗示したりとかしてます」
🎸「強制的に与えられるより、読者はそういうカタチで知りたいと思うんだけどなあ」
🛶「ああ、そういうことか! と意味が分かった方が楽しいとは思いますね」
🎸「逆に『オッス!オラ悟●!』みたいに自己紹介で始まると、パタンと本を閉じるかの如くです。私の場合w」
🛶「『オッス! オラ読苦! オラの国では、どえれえことになってっんだ! 冒頭から2万字ほど世界観と設定の説明すっからよろしくな!』的な?」
🎸「そのペースでずっと続くなら逆に読みたいかもW← ただ最近、色んな方から「長編や児童文学の場合、自己紹介があった方が良い場合もある」というのを教えていただき、少し考えは変わりましたが……」
🛶「あー例えば幼児向けだと自己紹介が無いと難しい場合はあるでしょうね」
🎸「書き手のエゴが見えちゃうというか、やっぱり読み手がそれを読んでどう思うか、というのが小説だと思うんです。短編の場合、自己紹介からあると始めに枠組の大半を強制的に預けられるようで、読み進める面白味は確実に大きく失われるのではないかな、と思います。はいあくまで個人的な見解ですのでこれはw」
🛶「その辺りはターゲット次第かもですね。星新一も児童書ですが、登場人物にしっかりした名前すらありませんから」
🎸「反対に、これは刺さる!みたいなので言うと、うまく言えないんですか、ちょっとした「引っ掛かり」がある書き出しだと、もう心持ってかれます」
🛶「例を挙げて貰っていいですか?」
🎸「もし例を出していいのなら、南雲一乃さん(旧・雲灯さん)の「天海観測」をあげたいと思います。
「テンさんが、海の底へのぼっていく。
月明かりに照らされた海。
深海の底。満天の空。星、星、星。」
これはもう最高ですね。情緒的であり風景描写もしているのに、「ん?」がある表現。これは心掴まされます。海の底へのぼるんですよ!深海の底が満点の空、星なわけです。これ続き読みたくなりますよね!確実に!……すみません興奮してしまいましたw」
🛶「天海観測は奇跡の5秒前で聴きました。あれは本当に凄い。宮沢賢治かと思うほどの描写力と完成された世界観を感じました。そして冒頭の『海の底に昇る』こんなキャッチーな表現はないですね。そこは全くの賛同です」
次回は『トコダトコ絶賛、これが刺さる冒頭だ』の続きをアツくお送りしたいと思います。
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