トコダトコさん ⑤描写2

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トコダトコさん ⑤描写2

トコダトコさんDM対談、今回はその9回目『描写』についてです。 🛶「描写、という点で私から2人紹介させてください。一人目は大御所、砂たこさんです。色表現のワードセンスが実に多彩な方で、秋月一成さんをして「1行目から凄い」と言わしめる方です。この方の描写が極まった作品のひとつが「冷たい手」だと私は思います。「バイオリンが歌う。低く、細く、滔々と」という本文の冒頭から、この先に待ち受ける運命を暗示させる絶品です」 🎸「「冷たい手」読んできました。めっちゃ凄かった……描写の質が物凄い高くて、その質の高さもとってもお洒落な角度がありました。冒頭の描写、ラフマニノフを用い雰囲気を音から滲ませる序盤、冒頭の穏やかさに楔を刺すように手の温度や冬の森林の烈炸音の描写など、ちょっとレベルが違うな、とも思いましたね。砂たこさんの作品のはもっと読みたくなりました。」 🛶「ところで! いや~夏々風葬、大賞きましたね! 流石はトコさんが推していただけのことはあります。またしてもご慧眼を証明しましたね(^^) 」 ※ちょうど、結果発表の時期でした。 🎸「大賞でしたね! まじめっちゃ嬉しかったですw」 🛶「キカさんが、トコダさんから『億に一つシイタケを逃したら朗読化したい』とオファーがあったと聞きました」 🎸「はは、取って当然でしたけどね」 🛶「さて、話を戻しまして。もう一人は最近の方で『杜乃うな』という方です。砂たこ師がどっしりとした甘い描写をするのに対して、うなさんはその真逆。ポップで現代風の表現が実に上手いと思います。ブルームーン・ライドという作品で、スマホで写真を撮るときに「ピロリンと一枚」と書いたりする。この一見簡単そうに見える表現が、我々三畳紀時代の化石頭には浮かばんのですわ。「そっかー、今はそういう表現をするのかー!」と勉強になります」 🎸「杜乃うなさんの「ブルームーン・ライド」は全く方向の違うお洒落さでした。『粋』と『ヤバみ』くらい、お洒落なのにその質は真逆といった感じ。  描写は「ポップ」なんですが、下品な軽さは全く感じませんでした。むしろ次のページを捲る推進力になるように、魅力に混ぜ込むように擬音を立てていて、こんな風に表現する澄んだ魅力のある短編だと思いました。これもまた素敵で、新たな感覚をいただきました」 🛶「前に何かの選評で「小学生は小学生らしい言葉を使うものだが、何故か爺みたいな物言いや考え方をする小学生ばかりだ」というのを見たことがあります。ちゃんとアップデートしないと、いつまでも「然らば候」ではだめですね」 次回、比喩表現についてです。
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