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トコダトコさん第二部 閑話休題 「See You 」②
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潜水艦7号さん作「See you」
この短編小説は、第199回の超・妄想コンテスト、テーマ「雨よ触れ」の参加作品であり見事「大賞」を受賞されています。
作者様自身「BL初挑戦」と語られており、読み始める前の正直な私個人的な印象は「…ちゃんと私に刺さる小説だろうか…」でした。理由としては、読み専だった私の経験上BLというジャンルは(言葉は悪いですが)「初心者の方が書かれる作品はイマイチ」の出来の小説が多かったから、というのがあります。
🚤注
その危険を回避するため、実はBL大家のすいかさんに数行だけのBL小説を何回か送り、反応を見てみました。そしたら思いの外反応がよく「その先!」と感想を頂いたので「ああこの空気感でいいんだな」と。すいかさん!ありがとうございます。
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どのジャンルでも専門的に書いている作家さんの作品が面白いのは当たり前ですが、BLって特にそうで、慣れない方が書いたBL一作目ってどこか遠慮の見える踏み込めない感じがあったり、逆にエグいだけの下ネタ小説だったり‥‥って感じのものに出会いがちだったんです。
🚤注
基本的には昔、姉から借りて読んだ花とゆめ的な耽美感を目指しました。
後は如何にしてBLお約束なソドミィシーンをR指定から逃げながら意味付けするかが問題でしたね。自分でもリアル過ぎるのは書きたくないし。
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良い読後感を得られるだろうか。あの潜さんの作品そして大賞受賞作とはいえ初挑戦のBL小説は「捏ねた表現の玄人好み『分かる人は分かる』系なんだろうな……もしそうならちょっとヤだな←」とか少しだけ思ってたとこありますw
🚤注
私はビビリなので、逆に玄人好みで『分かる人は分かる』な表現力欲しいです笑 池田春哉さんみたいな。
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好みとしてですがジャンルについては私は雑食で、ジャンルが理由で好き嫌いで読まない、という事はありません。ノンフィクション以外なら何でも読みますw
(ノンフィクションは、事実・真実を描いている故、それを批評するのは事実を評価賞賛あるいは批判する事になりかねないので、自分そんな立派な人間ではないから感想を書きたくないから、読まない
だけなんですがw)
では早速、冒頭から解剖していきたいと思います。
対談で言っていたように、冒頭1ページ目は特に大切なわけですが、この作品で言うと「特に惹かれた」という印象はありませんでした。
🚤注
ですよねー😅 耽美なテンポを目指していたので、最初からドカン! という手が使えないのですよ。
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ただ、バックグラウンド、世界観、主人公と相手役rainとの距離感、そして主人公の思うrainの印象、それらが適量に綺麗に描かれていました。文体が美しいのではじめからワクワクする格好良さがあり、少しづつ興味が浮き上がるような心持ちにさせる冒頭でした。
しかしあとでまた触れる事になりますが、この頁にはストーリーに絶対に必要だった要素を強く印象付け、大オチにも繋がる書き方をされているんですよね。
🚤注
あざーす! そうなんです! そこなんです!
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私がレビューを残す作品は大概2周は読むようにしているんですが、この冒頭を読んだ2周目は、大きな切なさと少しだけヤラレタ感を感じましたw←
恐らく逆算で物語を創作した末に出てきた冒頭で、読者の想像の膨らみを誘発するにはピッタリの「作風の色気の余白」を残しています。
🚤注
そうですね。この作品はラストシーンから考えて全てを逆算しています。
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2ページ目から、主人公の家政夫としての環境が語られ始めます。それまでの距離感が縮まる3ページにかけ主人公がrainを知ろうとする描写があるのですが、その3ページ目からは「会話」のテンポが色濃くなり、気持ちの漏れ出てる感じがありました。
あからさまに描いてはおらずさり気ない感じではありますが、敢えて詳らかに示さない事で逆に伝わるものがあったようにも感じます。
また、2ページ目以降で庭師が登場します。モブでありながら、時代背景を指し示すのと同時に「奇妙な存在感」を残している存在です。
3ページ目にrainについてパーソナルな事を庭師から聞いていたであろうくだりがあり、その引っ掛かりは意識の奥に残したまま読書を続けていくこととなりそうですっ
そして4ページ目。これはすごく良き。好きですほんとに。
前のページで近づいた距離感を、「ロジカルで仕事での専門性を雄弁に語る」という行為で代わりに表していました。
胸が苦しくなるような対象への興味と視線を持ち、rainを見る主人公。
ここで目にした「0.2秒の大差」というパワーワードは、後の「3日」の概念の対比に効いてくるのですが、これは終盤の為の要素として深く印象に残りました。
🚤注
0.2秒の大差、はキカさんからもお褒めを頂きました。ありがたいことです。
時間の世界で生きている、という描写をご理解して戴けて嬉しいです!
あまりに長文な、熱いご評価嬉しいです!
次回、この続きとラストページについてです。
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