トコダトコさん第二部 イジンサンアルデンテの着想

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トコダトコさん第二部 イジンサンアルデンテの着想

🚢「インプットがアウトプットに繋がらないという話はとても面白くて、私の場合、たまに「大賞作4つ全部でジャンルが違うが、どうやってそれだけのインプットをするのかと」聞かれるんですが、別に特段何もしていないんですよ。本とか読んでないし、映画もゴジラぐらいしか観ない。その代わり、常にアンテナを張って「パーツ」を探しているわけで。この間の北海道旅客記みたく、可愛い女子が酔って「こいつ、意外にいいケツしているなと思ってぇ」みたいにキャッチーな会話を耳に入れるとそれを使ったり」 🚢「何というか、自分としては漢方薬屋さんの薬棚みたいに記憶を整理しているイメージなんですよ。ひとつひとつの小箱の中身はヒマワリとかごぼうとか大したものは入ってない。それを、何かテーマがきたときに「あれ使えるか」「これ試してみるか」と組み合わせて処方していく。多分、やっていること自体は濱口屋ワークショップと似ているのかも知れませんね」 🎸「まあ酔っ払い女子の良いケツの話は置いといてw、漢方薬局の薬棚のイメージは興味深いですね!w なるほど。インプットされているエレメントを綺麗に分類しておけば、製品として調合する際の選択が容易にできるイメージは凄い思い浮かびました。なるほどなあ。きっと絶えずコンテストに出せる書き手さんとかは、そうしてテーマに合った物に調合するセンスというか手数が多くあるんでしょうね。イメージは千と千尋の釜ジイじゃん!w←」 🚢「私は蜘蛛の化身じゃったか! さて、発想の種はその後どうつながったのかのう」 🎸「先程言った私の書いた作品「イジンサン、アルデンテ」で言うと、このワークを用いて発想のタネを作り上げています。 (この創作秘話は初出しの話なのですが、) 当時のメモアプリの内容を掘り起こして見てみると、 単語Aを「外国人」 単語Bを「パスタ」としたみたいでした。 そして、日頃の風景や思い付いた事を、敢えてちょっとだけ捻った形容詞(形容動詞)で前に付けてみることにしました。 単語A  白い肌の外国人  いつも二人でいる外国人  クドい外国人  毎日会う外国人  顔が真っ赤な外国人 単語B  和風味のパスタ  アルデンテのパスタ  ピアノの白鍵みたいなパスタ  赤く染まるパスタ  鼻歌で茹でるパスタ こんな感じです。そこから入れ替えを行なって、「発想のタネ」に選んだのはこれら。 「和風の外国人」 「真っ赤なパスタ」 「ピアノ調律師の外国人」 「いつも二人で食べたパスタ」 「赤く染まった外国人」 「毎日はクドいパスタ」 「『赤い靴』を鼻歌で唄う外国人」 入れ替えに多少のアレンジを自由に加えたら、発想のタネどころか物語のジャンルや主だった流れ、キーとなりそうなアイテムもどんどん思い浮かんだんです。 これはサスペンスホラーや! でも人間味も描きたいなあ。そうね、タイトルもまんま「イジンサン、アルデンテ」とかええな! みたいな感じですw 「ちょっとしたコツなんだ!」って気付いた瞬間でした。もし発想に思い悩む事の多い書き手さんは、一度妄コン用とかにこれを試してみるだけでもちょっと面白いんじゃないかと思います。 「イジンサン、アルデンテ」は妄コンへの応募はしませんでしたが、文字数は4,500字程度の掌編として公開することができました。なので、モノは試しで是非やってみて欲しいです。 読み手代表としては、エブリスタに良作が沢山生まれてくれるのは何よりも嬉しいことですので、こんなワークや英明さんのワークショップきっかけで皆さんがガンガン新作を発表してもらえればいいなって思いますw」 🚢「何かと何かを組み合わせる。このとき、どうやって一見して無関係なものと突き合わせて別のものを生み出すかがポイントですね。ありきたりな組み合わせは誰でも思いつくし、かといって全く脈絡がないのも意味がない」 🚢「それにしても最初の作品からにして、この発想の自由さというか妄想力の枠の無さは凄いですね。どうしても既成概念に頭が引っ張られるものなんですよ。『毎日はクドいパスタ』とか出てこない。その発想の自由さは凄いですね」 🎸「どわーっ イジンサンの発想を褒められた嬉しいw 潜さんのような方にちゃんと深みある世界観の物語に思っていただけるように出来ていたのなら満足ですw」 次回、トコダトコ作品の根幹を占めるテーマ『ギリギリの共存』について。 これは斬新でした。
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