32人が本棚に入れています
本棚に追加
不幸ヤンキー、”狼”に魅了される。【終】
スピードと別れ、幸の家に帰ってみれば哉太の着信が鳴る。撫子からかと哉太は思ったが知らない番号であった。でも出てみれば…意外な人物からであった。
「…もしもし?」
『こんばんは、ばじしゃくさん。…驚いたかな?』
幼いがしかし凛とした声に既視感を覚えれば彼は話し出す。
『…俺のこと覚えてる?』
「君は…無差別”狼”事件の時の―」
『そうそう。そこにひがんばなさんもいるでしょ。スピーカーにして構わないから』
凛とした少年の声…柊 燕からの連絡に驚く哉太は、スマホをスピーカーモードにして今から夕飯の支度をしようとしていた幸にも聞かせる。そしてどういった経緯で自分の電話番号を知ったのかと尋ねようとすれば燕がさも知っているかのように答えたのだ。
『あぁ。ばじしゃくさんの電話番号は刑事さんから聞いてたんだよ。…なにかあった時の為に連絡が出来るようにって』
この事態を想定していたかのような言い方に哉太は改めて燕に問い正す。
「なにかあったって…君は一体何者なの。俺たちが春夏冬さんの周りを嗅ぎまわっていたのも…もしかして知ってた?」
…まぁ、と言ってから燕はこのような言い方をした。
『幾多数多ある未来から予測はしてたよ』
「…予測?」
衝撃的な発言に幸が驚けば燕は少し笑って言い放つ。
『でもね、ばじしゃくさん。…残念だけど俺は”狼”の印は持ってないんだ。でも…そうだな。狼側の人間…流行りのゲームで言う”狂人”みたいな人間だね。聞いたことあるでしょ?』
「”狂人”って…。また面倒な人間が関わっているな~」
「…”狂人”?」
その言葉に幸が首を傾げると哉太は少し面白そうに笑っていた。
「君がその狂人だったとは思わなかったよ~」
『まあまあ、味方だから良いでしょ。…ひがんばなさんには今度詳しく説明しておくから、今はしなくていいよ。…多分分からないだろうからね。今、聞いても…』
燕の言う通り案の定、疑問符を浮かべて戸惑っている幸に燕は分かったように言い放つ。
『ひがんばなさん。とりあえず俺は能力者だけど狼よりはかは劣っている存在だと思っておいて~。まぁ実際そうだから」
「あぁ…分かった…かな?」
「…そんなことより。ここからは用件ね』
「「用件?」」
ハモって声を上げる2人に燕は少し笑ってからこのようなことを伝えるのだ。
『もうじき…あきなしさんに嵐が来る。でもそれは彼女が望んでなったこと。偶然が必然になってしまっただけ。…俺がたとえ止めたとしても、そしたらもっと大きな嵐が来て、彼女を…あきなしさんを襲う』
「…なにを言って―」
『ひがんばなさん、今は聞いて欲しい』
ごめん、と軽く謝罪をする幸に燕は彼らにこのような願いをした。
『今夜、彼女はとある電話を君に掛けると思う。それに出て欲しいんだ。…返答次第ではもしかしたら彼女を救えるかもしれないから』
燕の突然の願いに幸が応答すれば燕は電話越しで笑った。
『ははっ。…やっぱり代価は払ったけれど…”狂人”は能力がそこまで出せないから心苦しいや。…結果だけは見えてるのに』
悲痛な声に哉太は燕を尋ねようとすれば電話が切れてしまった。
『あきなしさんを…うららさんを頼んだよ』
そう言い残して切れてしまった。
夕飯を食べ終えて風呂に入った後、うららからの通知が無いかを確認する幸は燕の言葉を反芻する。
「さっきの…燕君が言った言葉は何だったんだろう。…”狂人”の存在も分かんねぇし。…あぁ~どういうこった!!!」
頭を抱えて独り言を呟く幸に誰かに後ろから抱き締められた。濡れた髪と身体と体格で誰かなんて幸は分かり切っている。少し溜息を吐いてから自分を抱き締めている人物…哉太に苦言を呈す。
「バかなたさん。…俺は妹さんの連絡を待ってんだけど。…あとスマホが濡れるから来んなバカ」
「え~、冷たいじゃん~。…俺はこんなに元気にしてたのに?」
哉太が幸の手を引いておもむろに腰に巻いたバスタオルの越しに自身を触れさせれば、幸は顔を真っ赤にしてから手を離させちゃぶ台にスマホを置いた。事態が分かっておらず呑気に笑っている哉太に幸は怒る。
「なに触らせるんじゃ、変態!」
「あは。まぁまぁそう怒らずにさ~」
「妹さんが大変な目に遭うかもしれないのにって、…んぅっ!」
屈まれてキスをされ、押し倒される幸に哉太は彼の寝間着のTシャツを捲り乳首に触れた。
「やぁ…あぅ…、ふぅん…」
甘い声を漏らす幸に哉太は気を良くして行為を続行すると…。
―――ウウゥゥゥン…ウウゥゥゥン!
スマホの着信が鳴った。幸はスマホを取ろうと手を伸ばすが哉太が邪魔をして取ることが出来ない。
「かなた…さん、やめてよ…?」
「え~…無理」
哉太に行為を止めるように言うものの彼は幸の乳首に舌を這わせ、彼の局部をじかに触るのだ。
―――ピチャッ…ピチャッ…ピチャッ。
哉太の行為に受け入れられないが、快感に酔いしれて幸は戸惑いながら訴える。
「なんでぇ…、いもうと…さんかも…しれないのにぃ?」
―――ジュプゥジュゥプゥジュプゥ…。
すると哉太は幸の局部をおもむろに出して上下に扱いてから笑った。
「だって”狂人”だよ? …狂人なんて滅多に居ないんだよね~。だから興味が湧いたの」
―歯向かったらどうなるのかな~って。
哉太の真面目では無い態度に幸は怒ろうとするのだが…快楽が彼を邪魔する。
「またなに言って…やぁっ…んうぅっ…はぁあっ…」
―――ピチャッピチャッピチャッ…。
上下に扱かれてから乳首へと這わせていた舌は幸の後孔へと充てがわれる。
「うぅ…うぁ…ケツの中…いやぁ…」
声を漏らさずを得ない幸に哉太はバスタオルを投げだして露にした。大きく怒張している哉太自身を目の当たりして鼓動が早くなる幸に彼は言い放つのだ。
「今…ローションないけど良いよね。…痛いかもだけど…」
―受け入れて?
哉太のあまりにも身勝手な行動にさすがの幸も止めようとするが、しかし。それよりも哉太の行動の方が早かった。
「はぁっ? 待ってって、…やぁぅっ…うぁっ!!!?」
普段よりもキツイ幸の内壁へと侵入し、大きくピストンをする哉太と幸は気づかなかった。
―哉太の身勝手な情事のせいで。
『もしもし彼岸花君。相談しようと思ったけれどやっぱり自分に正直になるよ!』
―囲戸 心ちゃんのチャンネルに出てみる。
この時の哉太と幸は知らずに、呑気に遊んでいたのであった。
最初のコメントを投稿しよう!