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不幸ヤンキー、”狼”を迎え撃つ。《前編》
うららの様子を見届けつつ哉太はコーヒーを頂いた後、幸と一緒に帰る。普段であれば文句の1つや2つを言うフライは今日は大人しく1人で帰っており、どこかしょんぼりとしていた。それは哉太が不躾な発言をされて落ち込んでいる音刃もそうであったのだが、うららと燕に慰めてもらっていたようだ。
―タクシーに乗車し、車内にて哉太は間延びした様子で幸へ言い放つ。
「なんか今日、白髪もやしが元気なかった気がしたけどさ~。大丈夫なの、あれは?」
「……知らねぇ」
しかし隣に居る幸は少々不機嫌そうな表情を見せていた。哉太は疑問を感じたのでむくれている恋人に尋ねるのだ。
「なに花ちゃん怒ってんの~。俺、なにかしたっけ?」
だがそれでも幸はふて腐れた様子でこのように言い放った。
「…別にしてない。ちょっと気になっただけ」
「気になる…、なにが?」
「…知らない」
何も反応を示さぬようにそっぽを向いている幸。そんな彼は自分の家に着いて哉太と別れようとした。つまらないことで哉太と喧嘩をしたくは無かったからだ。しかしそんな彼に哉太は離さぬように抱き着いたのである。さすがの幸でも驚き顔を紅潮させた。
「なっ、なんだよ! また急に―」
「なんだよじゃないよ~。もう、なに怒ってんの~?」
「そんなことより離せ!」
「運転手さ~ん、お釣り要らないからこれでよろしく。そんじゃっ!」
多めにお金を支払っていつの間にか持っていた幸の家のスペアキーで玄関を開け放ち幸を強引に連れ出した。そして哉太は幸の部屋へと連れて行き、壁に押し倒すような態勢を取る。…そして耳元で囁くのだ。
「…なに怒ってんの?」
「ひぃっう…、耳元で喋んなよ…」
「俺がなんかしたんだよね?」
―――ベロリ…。
哉太が幸の弱点で性感帯である耳を舌で舐めあげる。すると幸は甘い声を出していた。そんな彼に哉太は気を良くするが、幸の苛立ちは消失することは無い。だから彼は問い掛けるのだ。
「んぁ…。だ…から、耳もと…でしゃべんな、バカ」
「や~だ。幸が理由言うまで、耳とか首とか…幸の弱い所しか触んない」
―だから教えてよ?
―――ベロり…チュゥ…。
卑猥な音を立てては耳や首筋にキスを施す哉太に幸は感じてしまう。しかも反応してしまう自分自身の局部にも腹が立つ。…羞恥心も併せ持っていた。だが
口から発するのは抗議する自分の悪態だけ。
―自分自身の素直じゃない性格にも苛立った。
「…ふざけん…なぁ…バカ」
「ふざけてなんてないよ。…俺は真面目に聞いてんの」
囁きつつ今度は幸のネクタイやボタンも軽やかに外し、首筋にキスを落とせば幸はまた甘い声を出してしまう。抵抗なんて出来るのにしない自分にも腹が立つ。
―哉太に毒されていると感じざる負えない。
―――チュッ。チュッ。…ジュプゥ!
「痛っ!?? …なんか吸われた」
羞恥心と天邪鬼な性格によりそっぽを向いている幸が小さな痛みに驚いた。すると哉太はサングラスを服の首元に掛けてにっこりと笑っているのだ。そんな彼はもう1度強く首筋を強く吸う。
―――ジュゥプゥっ!
「痛っ! いた…い…」
…でもどうしてだろう。嫌な気分じゃない…。
幸は痛みと共に驚きで上体を崩してしまうのだが、彼は首筋も感じやすいので腰が砕けそうな感覚に陥るのだ。痛みの中に気持ちよさが垣間見え、幸は自分自身の感覚がおかしくなっているのだと気づいては顔を真っ赤にする。…自分が変態みたいだなと思ってしまうのだ。
だがそんな幸の様子など分かり切っている哉太は意地悪で小悪魔な態度を取る。
「幸は耳も首も弱いもんね~。俺は知っているんだから。…幸のカラダのことなんて」
「この…へん…たい」
「まぁまぁそう言わずにさ~、…怒っている理由を教えてくれないと~」
すると哉太は幸の直立している局部に触れたのだ。いきなり触れられたことで幸は甘美な声を上げる。
「あぅっ…!」
「…幸のココを布越しでイカさせるけど…いいのかな~、ド変態さち君は~?」
またわざと耳元で囁いては本気でイカさせようとする哉太に幸は涙目になりながらこのように尋ねる。…それは自分でも女々しいと感じていることで…。
「…俺のこと捨てない?」
涙目になっている色っぽい幸に哉太は余裕で笑う。…だが気持ち的には早く性行為を起こしたいぐらいだが、ありったけの理性で押さえつけた。
「捨てられるのが嫌なら言ってよ?」
「……引かない?」
「引きもしないからさ。…俺は幸が何に怒っているのかを知りたい」
―だから、教えて?
優しげだが熱っぽい赤い瞳を向けられた幸は白状したのだ。
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