不幸ヤンキー、”狼”を迎え撃つ。【7】

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不幸ヤンキー、”狼”を迎え撃つ。【7】

 燕宅へとやってきた幸と哉太。うららは燕の手伝いと宿題の為にその場には居なかったが燕を交えた上で麗永を筆頭に話し出す。まず初めに麗永がパソコンにて資料を提出した。…それは囲戸 心の父親である心司のデータであった。 「まずは囲戸 心司のことについてです。彼は20年くらい前に”過去視”ができるという少年でもてはやされましたが、逆に嘘だと暴露されてしまい、バラエティーから外され、そのレッテルを貼られて生きていました。社会にも馴染むのが大変だったようです」 「ふ~ん…”過去視”ね~。嘘だったとはいえ、俺とは正反対だね」  コーヒーを飲みながら感想を述べる燕に麗永は補足して話す。 「柊君の言う通りですね。ですが、そんな中で彼は”狼”である妻、心美という人物と結婚をし、娘を設けます。…ですが早くに亡くなったそうですね。その為に彼は男で一つ、娘を育てあげたと考えてもらいたい」  麗永の重みのある言葉に幸は燕が淹れてくれたコーヒーを飲みながら言葉を発せずにいれば、哉太がこのように問い掛けた。 「もしかしてなんだけどさ…、その子供が心ちゃんで、心ちゃんがその意を汲んだってこと?」  哉太の言葉に麗永が強く頷いてから、彼は心と心司の疑問点を露わにする。 「囲戸 心の隣にはいつも編集スタッフとして心司が居ました。傍に張り付いています。もしも彼が囲戸 心に何かしらのメッセージを送っていたのだとしたら…どうです?」  麗永の言葉に今度は幸が疑問点を上げる。 「でもそれだったら耳にイヤホンを繋ぐだけで良いんじゃ…?」  すると麗永が少し微笑んで幸へ言い放つのである。 「そこがミソなんですよ。…イヤホンを渡さずに”脳内”に語り掛ける能力…お2人なら分かるんじゃないですか?」  麗永の言動に幸がなにかを考えると、哉太が誰かに電話を掛けた。…相手は撫子である。すると哉太は彼に電話をし終えてから少し笑ったのだ。 「これは反撃だね。…迎え撃とうじゃないの」  その発言にコーヒーを飲んでいる燕の青い瞳がキラリと輝いた。
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