偽りの母

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・・・ 「さあ、お着換えしましょうか~」 看護師のお姉ちゃんの声に導かれ、私は抱きしめていた人形を渡す。 「お姉ちゃん、近くの棚に置いて」 「は~い、かわいいお人形さんだね」 お姉ちゃんが人形の容姿を褒めると、自分のことのように嬉しい。 「そうでしょ!特にお目目が綺麗でしょ。お母さんと同じ海の色!!」 お姉ちゃんは私に思いがけない言葉を吐いた。 「え、お目目茶色だけど・・・」 視界が真っ黒なのとは反対に、頭の中が真っ白になる。 え、特注品の人形じゃない。 お母さんに頼んだ、お母さんと同じ色のお目目を持った人形じゃないの。 じゃあ、私の真っ黒の世界に会いに来る母親は・・・誰?
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