ユリネ

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ユリネ

 今日はめずらしいことが起こった。めったに会えないといわれる天の虹教団の天使にあったのだ。同い年のユリエル名乗る彼女は私の自殺未遂を咎めてきた。でも私は自殺をしたかった。  両親はいつも仕事で忙しそうだ。学校でも苛められっ子をかばったとたん世界が変わった。矛先が私に向くようになった。私は次第に学校に行かなくなった。  寝付きが悪くなり、精神科に通うようになった。医者はハイハイと話を聞き、薬を渡すだけだ。薬の量も増えた。そして死にたくなった。  いつものビルに行き、管理がずさんなのか屋上が空いている。そこに行き、ネットの向こうをじっと眺める。  私は天使に憧れているんだ。天の虹教団の天使ではなく一般的なほう。一体どうしたらなれるんだろうね。真っ白い羽を羽ばたかせ空を飛ぶ。気持ちよさそうだ。  そんなときだった。ユリエルとであったのは。すぐに天の虹教団の天使だと分かった。あの機械翼をつけていたから。  テレビでみる天の虹教団は慈善事業をしている。しかし新興宗教に変わりはない。私は毛嫌いしていた。ユリエルは同い年と言った。一体どんな生き方をしてきたんだろう。  そんなことを考え、一日が終わった。  私は今日もあのビルに来ていた。すると西の方角からユリエルが飛んできた。 「また来ていたんですねユリネさん」 「貴女に何と言われようとくるわよ」 「今日はなにを話しましょう?」 「ユリエルってなにをしているの」 「基本慈善事業ですよ。あとはあなたみたいな人がいないか空を巡回しています」 「空を巡回かあ、いいなあ。他は?」 「それだけです。あとは後継者を育てたり」 「楽しい?」 「ええ、もちろん」  ユリエルはゆっくり目を閉じる。そして頷く。 「ユリエルの事がもっと知りたいな」 「私のことが?つまらない話ですよ」  ユリエルは話してくれた。天の虹教団に入っている父と母のもとに生まれたこと。中学校までは通っていたこと。義務教育が終わりすぐに"天使"になったこと。天使には戒律があること。機械翼をつけるのもそのためだと教えてくれた。  ユリエルは淡々と語った。そしてユリエルは私のことが知りたいと言ってきた。私は自分の事を話すのが苦手だった。 「私の両親は共働きで私には興味ないし、学校では…私には居場所がないの」 「そうですか…。やはり人間関係はややこしいものですね。」 「そうだね生きるのって大変だよね。私は学校を卒業したら家を出ようと思っている」 「いいですねどこにでも行ける羽があって」 「ユリエルにもあるよ」 「わたくしにはありませんそれに、高校に行けたあなたが羨ましいです」 「そうかな。煩わしいことばかりだよ」 「本は読みますか?学歴よりも大事なのは知識を蓄えることですよ。絵本でもいいから読むのをおすすめします」 「本かぁ、読まないな」  ユリエルは本を勧めてきた。帰りに本を買って帰ろうか 「それでは失礼致します」 「えっもう帰っちゃうの?」  ユリエルは教団のある方へ飛んでいった。 「私も帰ろう」  帰りに本屋によった。面白そうな本を見つけた。ショートショートというシリーズといくつかの短編の話も買った。  家につき、早速よんでみる。期待以上に面白かったからまた別なものを買おうと思った。とくにショートショートは読みやすかった。  居間では両親の争う声が聞こえる。学校でも居場所のない私に存在意義とはなんだろう。でもユリエルは私を見つけてくれた。あのビルは居場所なのかもしれないな私はなんとも思っていなかった。ユリエルと"仲良くなる"事に
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