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「私のように生まれた子への救済措置が最新型の『アイ・Bスーツ』の無料提供」
歩瑠夏はもともと着ていた服をかき集め、小さな身体に纏う。
「だけど……レベルラインが…」
俺の発言に悲しそうな顔をした歩瑠夏。
その表情を見た時、俺はしまった、と発言を悔いた。
まるで俺が歩瑠夏を外見でしか見ていなかった、と言ったように取られてもおかしくない。
医師の判断1つでレベルラインの表示が免れるのだ、この場合も同様なのだろう。
歩瑠夏はいつもT3社の美しい『アイ・Bスーツ』に憧れる割に、内面を重視してほしいと言っていた。
歩瑠夏自身美しい姿に憧れつつ、本当の自分を見て欲しい、見られたくない、その気持ちの板挟みで苦悩していたのだろう。
俺だって、歩瑠夏の内面が好きだ。
ずっと一緒にいたいと思ったから告白をした。
だけど、外見を好きだったという事も本当だ。
好きだと思っていた歩瑠夏の笑顔が、声が、髪が、全てまがい物だったことにショックを受け、これ以上言葉が出ないでいた。
「苦しまなくていいよ、武蘭」
長い沈黙を破ったのは歩瑠夏だった。
「私ね、来月にはAiBS研究所へ行くんだ」
来月…!?
「なんで、何をしに…高校はどうするんだよ!」
咄嗟にどうでも良いような事を、声を荒げて聞いてしまった。
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