山田くんと先生 恋愛編

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 放課後。 「山田」 先生が、声を掛けて来た。  山田くんは、返事をしない。  先生が、訝しむ。 「どうした?何があった?橘先生に告白したのか?」 山田くんは、先生を睨んだ。  先生は、黙り込んだ。 「一昨日、先生を見た」 「俺を?」 「橘先生と一緒にいる所」 「あぁ、そうか・・」 「なんで付き合ってること黙ってたの?」 「山田・・あれはな、休憩時間だったんだ」 「??・・・なんの?」 「一昨日、研修だったんだよ。多分昼休憩に食べに出た所をお前が見たんだな」 「・・で、でも、橘先生とだけ一緒だったじゃん!」 「そうだな、山田。あのな、橘先生はな・・」 「あれ、どうしたの?花ちゃん」 橘先生が、通りかかった。 「ちゃんはやめろ」 先生が、無感情に応じる。  橘先生は、山田くんを見た。 「君は山田くん」 「はい・・」 「今日は、体調どうだった?」 「だ、大丈夫です・・」 「なんか困った事あったら、遠慮なく言ってね」 「は、はい」 「山田」 「・・はい」 山田くんは、先生を見た。 「橘先生は、俺の母だ」 「・・・・・・・は?」 先生は、自分と橘先生を交互に指さす。 「ここ親子だ」 「は??!え??は??え、で、で、でも歳同じくらい・・?」 「そうだな」 「私の方が、二つ上だね」 「橘先生は、父の再婚相手だ」 「ええっ!?」 「そんな事務的に言わなくても」 「後妻だ」 「もっと嫌」 「え、・・・い、一緒に住んでるんですか?」 「まさか」 「間違い起きそうよね」 「生徒の前で生々しい事言うな」 「冗談よ」  思わず、昼ドラ展開を想像する山田くん。 「旦那さんとの年の差って・・」 「三十かな」 「さんじゅう・・」 「私のダーリンは校長先生だったの」 「こ・・」 「私が先生になるまでずっと待っててくれたの」 「そ、そうなんですか・・・」 「花ちゃんも、こう見えて彼女いるのよ」 「・・花ちゃん?」 「俺だ」 「えっ?!!」 「もうすぐ結婚するの」 「ええええーー?!!」 「山田、今までの会話、全部忘れていいからな」 「・・お、おめでとうございます」 「ありがとうございます」 「なんで言わないんですか?」 「色々面倒だろ。説明が。生徒に気い遣わせたくないし」 「そんな・・」 「お前らは、自分たちの事で充実してればいいんだよ」 「先生・・」  山田くんは、失恋のショックが、何処かに行ってしまった。  というか、もうよく分からない。 「山田」 先生が、山田くんを呼ぶ。  山田くんは、先生を見る。 「悪かったな。何も言わなくて」 「・・・」 「お前の想いを大事にして欲しかったんだ」  諦めたりしないで。 「先生・・」  山田くんは、橘先生を見た。 「橘先生」 「はい」 「好きでした」 「ありがとう。・・ごめんね」  山田くんは、じんわり涙ぐんで、微笑った。  おわり
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