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「そんな、力なんて……」
「ん〜……気のせいじゃないと思うけどな……。ママ視るの得意だから、ママに聞いてみますね」
✧ ✧ ✧
アリッサの母親の料理はどれも美味しく、異世界とはいえシチューなどがあり、西洋料理を思い起こさせる。食事を済ませるとアリッサが母親に話しかけた。
「ねぇ、ママ」
「なぁに?」
「真帆さんに何か力があるみたいなの。あたしじゃ分からなくて……視てもらえる?」
「良いわよ。真帆さん」
母親は真帆を呼んで手招きをする。
「はい」
「視ても良いかしら?」
「はい、お願いします」
母親が真帆を見据えて瞳を閉じる。真帆の手にそっと触れ、何かを感じているようだ。
「……」
「真帆さん、貴女……神力があるわね」
「神力?」
「ええ。まぁ、まだ目覚めてないようだけど」
「どんな力なんですか?」
「そうね。邪悪な力をはね返し滅する力よ。とても清らかなエネルギーね。貴女が心からそれを求めた時に目覚めるはずよ」
「家の家系は代々神に仕える仕事をしています。特に母は巫女といって除霊したりお祓いする力もあるみたいです」
「そう……きっと遺伝したのね」
アリッサの母親は納得したようにうなずいた。
「ねぇ、真帆さん」
「はい」
「真帆さんはこの世界に来たばかりで行く所がないでしょ? 真帆さんが良ければこの世界にいる間、家で過ごさない?」
アリッサの母親は優しいほほ笑みを浮かべている。
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