10人が本棚に入れています
本棚に追加
2人めの少女
『昔々……あるところに……人間の少女がいました』で始まる物語が大好きな少女がここにも1人。
アリッサは13歳の女の子。魔法使いの家系に産まれ、人間がおとぎ話に出てくる世界に生きている。
「アリッサ〜! 朝よ!」
母親の甲高い声がアリッサを呼ぶ声で朝が始まる。
「……んん~。もう少し……寝かせて……」
アリッサは更に布団に潜り込む。鳥のさえずりが響き渡り、のどかな空気がただよう気持ちの良い朝だ。
「アリッサ!」
母親はアリッサの部屋まで入って来た。
「アリッサ、遅刻するわよ!」
――遅刻? え? 今なんて?
「遅刻?!」
アリッサは遅刻と言う言葉に驚き、飛び起きる。さっきまでの眠気はどこへやら、寝起きとは思えない速さで着替えた。
「ママ、もうちょっと早く起こしてよ! 朝弱いんだから……」
「……何度も呼んだわよ」
母親は呆れた表情で答える。
大急ぎで顔を洗い「パパは?」と母親に聞く。
「もう、出かけたわよ」
「そう。ごめん、朝ごはんいらないや。行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
母親は慌ただしく箒に乗り飛んでいく娘を見送った。
最初のコメントを投稿しよう!