憧れの人間界

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憧れの人間界

「アリちゃん?」 「え?」  アリッサが恐る恐る目を開くと、真帆が立っていた。 「おっ、お姉ちゃん!」  アリッサは真帆に抱きついた。 「どうしたの? 1人で来たの?」 「うん、うん……」 「……何か、あった?」 「え?」 「だって、1人で来るし顔色が優れないみたいだし……?」 「うん……」 「ん?」  真帆は笑顔でアリッサの顔をのぞき込む。 「どうしよう……お姉ちゃん。フレッドが……あたしを……好き……なんだって」 「うん、知ってるよ」 「え?! お姉ちゃん知ってたの?」 「うん」  真帆から見たフレッドはアリッサを好きというのがだだ漏れだった。多分、本人以外は知っていただろう。 「あたし、どうしたら良いのかな?」 「アリちゃんはフレッド君をどう思ってるの?」 「兄妹みたいに思ってた。なのに、急に好きとか言われても……」 「うん。好きは好きなんだよね?」 「そう。だけど、恋じゃないと思う。でも、そうなると今まで通りでいられなくなっちゃう……」 「そうだね。辛いよね。ね、とりあえず中へ入らない? 皆に紹介するから」 「皆?」 「そう、お父さんとお母さん。ヒスイさんもいるけどね」
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