憧れの人間界

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 ヒスイはあれからずっと真帆の家に入りびたっている。すっかり馴染んでいるようだ。  今日は王子の仕事をすると言って戻っているが、こんなにずっと国を留守にして良いのだろうか?  真帆はアリッサを連れて家の中へ入った。  父も母もそれぞれ作業をしている。今度、街で行われる行事の準備だ。 「お父さん、お母さん、ちょっと良い?」 「ん? 何?」 「どうした?」  2人は手を止めて真帆の方を見た。 「この間話した妹のこと覚えてる?」 「ええ。もちろん」 「覚えてるよ」 「実はね、そのアリッサちゃんが来たの」  真帆はアリッサに手招きをする。 「こんにちは〜」 「こんにちは」  2人はそろって返事をした。 「アリッサです。真帆さんの妹です」 「まあ! あなたが妹?」 「はい」  母はアリッサに近づくと顔をしっかりと確認した。 「瞳が彼と同じね……」 「はいっ。パパに似てるってよく言われます」 「そう……お父さんは元気?」 「とても元気です」 「そう……」  嬉しいような悲しいような何とも言えない感情を、母はその瞳に映していた。 「あの」 「何?」
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