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「あの、アリッサさんという方はいますか?」
「え?」
「そちらの男性がアリッサを知りませんか? って聞いてきたんです」
彼が振り返る方へ視線を移すと、アリッサのパパが申し訳なさそうに立っていた。
「お父さん?」
「真帆ちゃん?」
「なんか大丈夫みたいなので、失礼します」
真帆とアリッサの父は彼に頭を下げる。
「アリッサは来てますか?」
「はい。いますよ」
「良かった……なんか、様子がおかしいまま、お姉ちゃんの所へ行くって言ったらしいから、心配で来ちゃいました。ママはほっとけって言ったんだけどね」
アリッサの父は苦笑いをする。
「どうぞ」
アリッサの父は真帆に付いていき、皆が集まっていた部屋に入った。
「お母さん、アリちゃんお客さんだよ」
「え? お客さん?」
「私にも? いったいどちら様?」
母がそう言いながら真帆の方に顔を向けると、手に持っていたペンを床に落とした。
「久しぶり、亜紀さん」
アリッサの父は母に向かってそう言った。
「久しぶりね……」
両親は作業をしていたが、もうそれどころではない。父は2人には積もる話もあるだろうからと気をきかせ、2人きりにしてあげた。
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