真帆の力

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真帆の力

 夕飯が出来るまでゆっくりしてて?とアリッサの母親に言われ、リビングでぼんやりしているとアリッサが声をかけてきた。 「真帆さん、これ見てください!」  アリッサが見せてきたのは絵本だった。 「これは?」 「人間が出てくるおとぎ話です」 「人間が?」 「はい」  2人して絵本を開く。 『昔々(むかしむかし)、あるところに、人間の少女(しょうじょ)がいました。少女は地球(ちきゅう)()んでいました……』 「このお話、昔から大好きだったんです! 人間の女の子がいつか現れて、色んなことがあっても、最後は皆が幸せになれる。ずっと人間に会いたい。会って色んな話がしたいって思ってたんです!」  アリッサはとても嬉しそうだ。 「私達の世界には魔法はありません」 「え? なんて不便!」  アリッサは目が飛び出しそうなほど見開いた。 「私にも魔法使えないですか?」 「う〜ん……それはどうだろ。真帆さん、魔力なさそうだから……ん?」  アリッサは真帆をじっと見つめていたが、何かに気づいたようだ。 「え? 魔力ではないけど、何か力がありますよね? 真帆さん!」 「えぇ? 力?」 「はい。魔力とは違うエネルギーを感じます。あ〜! でもあたしじゃ分からない!」  アリッサの眉間のしわがどんどん深くなる。
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