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「若様!!何処におられたのですか?!」
「上様が生類憐みの令なるものを出して、大変な事態に陥っておりますぞ!!」
「何とかして下さい!!」
「特に犬を虐待したら獄刑になる者が、あとをたたず……このままでは……」
生類憐みの令?
なんか聞いた事があるな?
私は、そんな事を思いながら犬と戯れている上様の前に鎮座した。
「よう、徳松。何処に行っておったのだ?余は心配で心配で……」
「……そんな風には見えませぬが?」
「あ、それ、その……徳松に会えない辛さから、このように寂しさを紛らわせていたのじゃ」
私は少し考え込んだ。
徳松に生類憐みの令……
この殿様は、もしかしたら徳川綱吉?
そうだとしたら……おかしい事が一点だけある。
「父上!!犬の事を思うあまり、人々を極刑にしているというのは本当でありますか?」
「当然じゃ。余が特に愛してやまない犬に手を出す者は許さぬ!!!」
その言葉を聞いた私は、すかさず、綱吉公に戯れていた犬の首に手をかけ、ドスンと畳の上に叩きつけてやった。
綱吉公をはじめ、家臣達も、私がしでかした事に驚いている。
「父上、この私目も極刑でござるな?」
と私は言って自分の腰刀を抜き、思いっ切り自分の腹に刀を突きさそうとした。
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