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「ちょっ!!待てよ!!!これ、芝居だから!!危ないから、やめなってば!!」
いち早く徳川綱吉役?の役者が、私の手から刀を取り上げると私に傷がないか調べた。
家臣役の人達は、
「あ、そうか……それ木刀だもんな?……一瞬、本物の刀に見えて焦ったわ……」
と汗を拭っていた。
そこへ現代の服装を着た人達がどっと、この部屋に入ってきた。
え?何?どういう事?
そこへ監督らしき人物が、
「これは見上げたもんだ!!本物の刀に見させる程の演技力!!たいしたものだ!!」
と私の頭を撫でてきた。
「ねぇ?」
「ん?なんだい?」
「綱吉の子……徳松って五歳くらいに病死をしてなかったっけ?」
「え?」
「え?じゃないよ!!しっかりしてよね?」
「こりゃ参ったな!しごくつもりが、こっちがしてやられたは!」
すると周り中から笑い声が溢れた。
「ねぇ?これどういう事?」
「実はな……英美里ちゃんの、お父さんに頼まれてな?二週間、役者の大変さを思い知らせて子役を諦めさせて欲しいと頼まれてな……」
「なんですって?!……じゃあ二週間、私が頑張ったら子役にしてくれるの?!」
「さ、さぁ?」
「さぁ?じゃないわよ!ハッキリしてよね?!!!!!」
「分かった分かった。二週間の間、英美里ちゃんが逃げ出さなかったら、お父さんに交渉するよ」
「絶対ね?!」
「ああ、絶対だ」
そこでまた、爆笑の渦が巻き起こった。
冗談じゃないわよ!!
絶対に子役になって見せるんだからね!
と私は、お父さんの顔を思い浮かべると、グーパンチをしてやった。
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