【二週間】

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私は落ち着くと徳川綱吉役をしていた人の顔を見た。 「○△!○△!!!!」 私は驚き過ぎて声にならない悲鳴をあげた。 「○○Zライダーだ!!!!」 「お、ようやく気付いた?」 「びっくりしたぁ!まるで別人なんだもん」 「そりゃ役者冥利につきるな」 と○○Zライダーこと渋谷(しぶや) 滉平(こうへい)は、カツラを外してニコリと笑って見せた。 「なんで、あなたが此処に?」 「いや、社長に頼まれたもんで」 「社長って?」 その時、渋谷 滉平は、ヤバい……という顔つきをしてペロッと舌を出した。 「あの……あのあのあの……サインくれませんか?」 私は不思議に思いながら、渋谷 滉平にそう頼んだ。 「お!嬉しいねぇ〜、俺のファンなの?」 「え?私は違うけど、弟と妹がファンでして……」 「なんだよそれ〜!俺、ショック!!」 と渋谷 滉平は首を項垂れた。 「す、すいません!」 私は、そう謝りながら周りをジッと見渡した。 はじめは動揺して気づかなかったが、みんな名優ばかり。 なんでなんでなんで?! 私の様子に気付いた監督……かの有名な野田監督……は、私の肩に自分の手をポンと乗せた。 「私の指導は厳しいぞ?どんな有名役者とて、私がダメだと言えば三日と持たずに降板していく。やめるなら今の内だぞ?」 と言ってきた。 私は武者震いをさせながら、 「はい!!」 と返事をした。 「滉平!おまえもな?!」 「え?俺も?」 素っ頓狂な声をあげて渋谷 滉平が、その場に倒れると周りの名優達がゲラゲラと笑った。 それにしても……お父さん、どういう事? 私が、そう考え始めた時、 「ほれ、お嬢ちゃん。このセットの片付けを手伝いな!!この城は無理を言って借りただけだから、明日には出発なんだ!」 「へ?何処へ?」 「東京のスタジオだよ」 野田監督は私の頭をポコンと叩きながら、次々と資材を数台のワゴン車に詰め込み出した。 東京って……え?学校どうするの? 私はキツネに化かされているのかと思いながら、みんなの手伝いをした。
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