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小さな頃から、ずっと「顔が良い」と褒められてきた。
確かに父も母も美形で、俺は二人の顔立ちのいいところだけを受け継いだような顔を持って生まれた。
正直なところ、この顔のおかげでなんとか生き延びているといっても過言じゃない。この顔のおかげで、冒険者ギルドの受付という仕事に巡り合うことが出来た。……没落貴族の令息が、一人で生きていくのは大変なのだ。
ずっとずーっと、この顔に感謝してきた。……だから、まさかこの顔が厄を呼ぶだなんて――想像も、していなかったのだ。
「本当に可愛いな」
「もう俺のお嫁さんになっちゃいましょうよ」
そう言ってくる二人組。彼らは、この冒険者ギルドで知らぬ者はいないと言われているほどの有名人で、人気者。
そんな彼らは……何故か、俺の『顔』に執着していたり、するのだ。
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