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けど、この先輩は実のところ俺がこの世で最も尊敬している人物だったり、する。だから、邪険には出来ない。
「……それ、何度目です?」
「さぁね。僕ももう回数なんてとっくの昔に忘れてしまったよ」
けらけらと笑って、先輩が俺の頭をポンポンとたたく。……そういうの、女の子にしてやれば喜ぶだろうに。
「そういうの、女の子にしたらどうです? 先輩に憧れている女の子、多いじゃないですか」
「……そうか?」
「えぇ、そうですよ」
この容貌に、身分は子爵令息。天は二物を与えずというけれど、この先輩に限っては二物どころか三、いや四、五くらい持っていそうだ。……俺の、勝手な想像だけれど。
「でもなぁ。僕はフリント君が女の子だったら、いいなぁって思ったことはあるけれど……」
「なんですか、それ」
今、ギルド内は閑散としている。ちょうどお昼時ということもあり、みんな外に食事に出たのだ。
でも、受付は空けておくわけにはいかない。というわけで、受付は交代でお昼番。……今日は、俺。
「だって、フリント君可愛い顔しているしさ。……あと、純粋に性格が良い」
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