1.ギルドでも有名な二人組

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 真面目な顔して先輩はそう言うけれど、俺は自分の性格がいいなんてこれっぽっちも思ったことはない。  顔が良い自覚は、あるけれど。 「冗談言わないでくださいよ。俺、顔だけの男です」 「自分でそれを言うなよ」  けらけらと笑った先輩が、俺の肩をバンバンとたたく。……先輩のこういう軽いノリ、嫌いじゃない。 「言っておきますけれど、俺、性格あんまりよくないですからね」  近くのカップを手に取って、水を飲みつつそう言う。……心配性ではあるけれど、優しいわけじゃない。人がいいとは言われるし、その自覚はあるけれど、誇れるようなレベルじゃない。 「……でもね、僕はフリント君が優しいことを知っているし」 「……何処を見て」 「だって、ずっと冒険者たちの心配しているしね。……この仕事続けているとさ、割り切ることも必要だって思うんだけれど」  先輩が、遠くを見つめてそう零す。……あー、それを指摘されると辛い。視線を、自然と彷徨わせた。 「でもまぁ、そこがフリント君のいいところだし。誇っていいよ」 「俺が誇るのはこの美しい顔だけです」 「本当、キミはナルシストっていうか……」  呆れたような視線を俺に向けてくる先輩。……ナルシストなのは、自覚がある。だって実際、俺、顔良いし。 「けど、それも嫌味にならないのがすごいよ。……僕が言ったらいろんなところから怒られるよ」 「……そうですか? 先輩もきれいな顔だと思いますよ?」 「……キミねぇ」  そんな会話をしつつ、俺たちは笑う。こんな他愛もない世間話が出来るのも、全部今が閑散としているから。  ……冒険者が帰ってきたら、そうはいかない。
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