1.ギルドでも有名な二人組

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「っていうか、話は変わるんだけれどさ」 「はい」  ふと、先輩の声に真剣さが帯びる。なので、俺は気を引き締めた。  なにか、仕事上で重要な話なのかも……と、思っていたのだけれど。 「あの二人組と、なにか進展あったの?」  ……全く、仕事と関係のない話だった。だからこそ、俺は「はぁぁ」と大きくため息をつく。  あの二人組。名前を呼ばれなくても、もう誰なのかわかってしまう。……『あの二人組の剣士』のことだ。 「進展なんてないですよ。……そもそも、あの二人だって俺に対して本気なわけないですし」  手を組んで、その上に手を置いて。俺は思いをはせる。  先輩の言う『あの二人組』とは、ジェム・アシュフォードとクォーツ・ウィールライトという男たちのことだ。  彼らは二人組のパーティであり、共に剣士。実力はとんでもなくて、このギルドに所属している冒険者ではぶっちぎりのトップ。しかも、顔が良い。……あぁ、とにかく顔が良いんだ。  俺はきれい系のどちらかと言えば女性っぽい顔立ち。が、あの二人は精悍な男らしい顔立ちだったりする。つまり、俺とはタイプが違う。むしろ、真逆。
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