1.ギルドでも有名な二人組

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 そんな奴らは、女性たちから熱い視線で見つめられ、男たちからは憧れと妬みの混ざった視線を向けられ、子供たちからは英雄扱い。老人の中には奴らを拝むものもいるという。  これだけ言えばわかるだろうが、あの二人は人望がすごい。とにかく、人気があるのだ。  しかし、そんなジェムとクォーツに、俺は迷惑している。……理由は簡単。 「そもそもな話、あの二人鬱陶しいんですよ」  そう、あの二人はとにかく俺にとっては鬱陶しかった。俺が受付をしている時間帯を狙ってギルドにやってくるのは、まだいい。ただ、そのたびに食事に誘ってくるし、プレゼントと言って高価なものを押し付けてくるし。挙句の果てにセクハラ紛いのことしてくるし。……俺が女だったら、訴えたら勝てるんじゃないだろうか。そう、思うほどだ。 「……うーん、僕からすればあの二人は本気の本気だと思うんだけれど……」 「なんですか、それ」  本気だったとしても、迷惑この上ない。同性間での結婚は特に問題ないし、そういうのに偏見を持つ人間はこの国では少ない。でもさぁ……。 「っていうか、あの二人に言い寄られる所為で、俺の立場あんまりよくないんですからね?」  なんていうか、女性たちからの視線は何処となくおどろおどろしいし、なんかあらぬ噂立てられているし……。 「けど、フリント君、別に同性でも問題ないでしょ?」
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