パンプキン伯爵の招待状

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パンプキン伯爵の招待状

 私はマリア。十歳の魔女。  友だちは同い年の黒猫グーグーと、五歳のミニブタ、ポポ。二人だけ。  同じ魔女の友だちはいない。お母さんも仕事で忙しいから家にいないことが多い。  だから私はグーグーとポポと三人でこの小さいお家に住んでいる。 「魚を食わせろ!」  グーグーは食欲旺盛で食い意地を張っている黒猫。でも私の家は山のふもとにあって、川からも海からも遠いから魚は獲れない。お母さんが帰ってくる日だけ、魚が食べられる。けれど今日はお母さんが出て行った日。帰ってくるのは早くても三日後。だから私はキャットフードを魚の形に置いてグーグーに出した。 「ちぇっ。またコレかよ」 「文句言わないで。そもそもうちは裕福じゃないの」 「仕方ねえなあ」  グーグーは文句を言いつつ、カリカリとキャットフードを食べる。その横でポポはカットした果物をおいしそうに食べていた。その様子を私は幸せそうに眺める。 「マリア、ご飯は食べないの?」  ポポが心配そうに見上げる。私は「あとで食べる」と言った。もともと食欲が少なくて、食べられる量も少ない私は、自分が食べるよりグーグーとポポがおいしそうに食事をするのを眺めている方が好きだった。
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