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エピローグ
図書館に残っていたのは、居眠りをしていた憂子一人だけだった。
憂子は慌てて真っ白なノートと開いたままのパソコンを閉じ、バッグに詰め込んだ。
図書館を出ると、憂子は夜空を仰いだ。今宵は満月の夜だ。推しが出現する夜。
だが、夜道で不審者が後ろから追い掛けてくることはない。推しが目の前に颯爽と現れ、自分を助けてくれるという都合の良い展開も夢のまた夢だ。
「月夜の『狼男』、かっこよかったのになぁ」
憂子は吐息を漏らすように、暗い夜空に向かって呟いてみるのだった。
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