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「ほい、とうちゃく!」
今さっきまで河川敷にいたのに、一瞬で着いちゃったよ!?
ここ、本当に魔法世界?
でも、目の前には中世ヨーロッパを思わせるお城がそびえ立ってて、固く閉じられた城門の前では、ドラゴンやらゴブリンやらが怒号を上げている。
「ちょっと待って。あのお城って、まさか……」
「そ、うちらロゼッタ家が住んでる城や」
うわあぁぁぁーっ!
この子が言ってた魔法世界のプリンセスって、本当のことだったんだ。
それを妄想って決めつけた私、マズくない?
不敬罪で逮捕されて、現実世界に戻れなくなる、なんてことになるかも?
「あのぉ……プリンセス・エリザベス・ロゼッタ」
「長たらしくて呼びづらいやろ?せやからエリーでええよ」
いきなり呼び捨てってのは、ハードル高い……。
いや、そこ気にしてる場合じゃないな。
いかにも一触即発なモンスターたちのあの雰囲気、かなりまずいんじゃない!?
「あのさ、エリー。モンスターたちが反乱おこしそうだから、ご両親はエリーを私たちの世界に送ったんだよね?なのに勝手に戻ってきて、本当に大丈夫なの?」
「アンタ……名前は?」
「……松川、美里……です」
「美里は、おとんとおかんにイラついたことあらへん?」
「まあ……10代の頃はあったかな」
「うち、モンスターたちは、ただ話し合いしたいだけちゃうか、ってゆうたんやけど、おとんもおかんも聞く耳持たん。挙げ句、勝手に美里の世界に送られて、正直ムカついとったんや」
「うーん、でも、モンスターさんたちめちゃくちゃ怒ってそうだけど……何言ってるかわからないと、判断できないなあ……」
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