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まったく、こっちはメンタル弱ってるってのに、なんでこんな目にあわなきゃいけないわけ?
「ほんまにごめんなあ。ダイジョブやった?」
しかも魔女コスプレした金髪の女の子が、心配そうに顔を覗きこんでる、って、これ一体どういう状況?
「たぶん大丈夫だとは思うけど、ろっ骨折れてて、あとからもっと痛んでくる、ってのはあるかもしれないわね」
だいたいなんで関西弁で話してんのよ。
ツッコミ入れるのも面倒くさいから黙っとくけど。
「ほな、うちがちょちょいのちょいで治したるわ。……ほい!」
少女が懐から取り出した杖を振ると、キラキラした光が美里の身体を包み込む。
光はすぐに消えたけれど、不思議なことに胸部の違和感と若干の痛みも一緒に消えていた。
「あなた、今なにしたの?」
「この杖で、癒しの魔法かけたんよ」
「……は?」
たぶん、ものすごく怪訝な顔をしていたんだろう。
少女は不服そうに唇をとがらせた。
「なんやのその顔。うちは魔法世界のプリンセスなんやから、魔法つこうてあたり前やろ」
「ふーん、そういう設定の妄想なのね」
「妄想ちゃうよ!ほんまのことやもん」
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