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「仮に、あなたが、本当に、魔法世界のプリンセスだとして……」
「あなた、やない。うちにはエリザベス・ロゼッタゆう立派な名前があるんやから、名前で呼んで」
……ちっ。
ほんと面倒くさいな、この自称・魔法世界のプリンセス。
「じゃあプリンセス・エリザベス・ロゼッタ。お伺いしますけど、あなたが魔法世界のプリンセスだっていうなら、なんで突然、私たちの世界にきてんのよ!?」
「モンスターたちが反乱起こしそうやとかゆうて、おとんとおかんが勝手にうちをこっちの世界に送ったんや」
「はぁ……」
「なんや、その面倒くさそな態度」
「ただでさえ今日は疲れてんの!その上荒唐無稽な作り話にリアクションするなんて、面倒くさいに決まってんでしょーが!!」
「……しゃあない。いくらクチでゆうても、信じてもらえへんなら、うちの世界に連れてくしかないわ」
「……へ?ちょ……まっ……私、明日も仕事……」
エリザベスが杖を振ると、目の前の空間がまたもグニャリと歪む。
「ほな、いくで」
彼女は美里の手を引き、ぐいぐいと進んでいく。
「人の話を聞きなさーいっ!!」
エリザベスと美里の身体を呑み込んでから、空間の裂け目はひとりでに閉じていった。
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