異星人との

1/1
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

異星人との

 地球人は嫌いだ。  この男は私を“彼女”と認識しているが、私に地球人のような性別はない。自分の都合のいいようにばかり考えて、しあわせな奴だ。  男は他の一般的な地球人に比べ、豊かな暮らしを送っている。そして、相当な変わり者のようだ。 「決しておいしくはないだろうが、お前の望みを叶えてやろうか」  そう告げると、男は恍惚とした表情で私を見つめた。  ああ、この視線は嫌いではない。元より、この男には嘘がなかった。私に対する好意を、愛というものをずっと叫び続けていた。  だったら、私は”やさしさ”とやらを返してやらねばならないのだろう。  翌晩、私は地球を後にした。  全身の血液を吸い尽くされた男の死体を残して。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!