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異星人との
地球人は嫌いだ。
この男は私を“彼女”と認識しているが、私に地球人のような性別はない。自分の都合のいいようにばかり考えて、しあわせな奴だ。
男は他の一般的な地球人に比べ、豊かな暮らしを送っている。そして、相当な変わり者のようだ。
「決しておいしくはないだろうが、お前の望みを叶えてやろうか」
そう告げると、男は恍惚とした表情で私を見つめた。
ああ、この視線は嫌いではない。元より、この男には嘘がなかった。私に対する好意を、愛というものをずっと叫び続けていた。
だったら、私は”やさしさ”とやらを返してやらねばならないのだろう。
翌晩、私は地球を後にした。
全身の血液を吸い尽くされた男の死体を残して。
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