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諒介に着替えをさせて子供用飲料を飲ませると
ごきゅんごきゅんと喉を鳴らしている。
可愛い。無邪気に笑顔を見せてくれる。
「母さん諒介ありがとう、もう少ししたら夕食だって、こっちの部屋で一緒に食べて良い?」
「もちろんよ。紗弥加さんにはちゃんと気配りしてね?私達がずっと一緒じゃくつろげないわ」
駿介の後ろから紗弥加が顔を出した。
「お義母さん、そんな事ありませんよ。私、浅野家の家族になれて本当に幸せなんです。私の方が図々しくて申し訳ありません」
首をすくめながら諒介を受け取った。
「駿介は本当にいいお奥さんに巡り逢えたわ。駿介だけじゃなく私達も幸せよ。ね?佳佑」
「だな、我が家の娘達は気配りも出来て美人だからな。いつも自慢してるよ」
パパありがとう!佑菜は佳佑に抱きついている。
部屋に食事が運ばれてきた。
豪華な食事に皆が口々に美味しそう!盛り付けも繊細で素敵ね、と見入った。
女将の香菜子さんが食事の説明をし海鮮盛りは主人からのサービスです。とにこやかに伝えてくれた。
「ありがとうございます、遠慮なくご馳走になります」
諒介の離乳食も用意されていた。
駿介に前もってアレルギーの有無や食べたことのある食材を聞いていたそうで、彩りの良い食事に諒介も手を伸ばしていた。
「駿介は偉いな、子供のアレルギーや今何が食べられるのかちゃんと知っている。
僕は、君に任せっきりで何もわかってなかった、家の事も何ひとつしないで…」
感心したように駿介を見つめた。
「宏紀さん?振り返って反省したところで過ぎた時間は戻りませんよ?
これから大切なことに向き合っていけば良いんです。
あら…このお品書きって…宏紀さんの字よね?」
「気づいてくれたのかい?嬉しいな」
「父さんこんな凄い字書くの?」
そっか、駿介は宏紀さんが書家でどんな字を書くか知らないわね…
「確か雅号持っていたわよね?」
「よく覚えていたね、恥ずかしながらね。今は仕事にも役立って祖母にも感謝してるよ」
「あなたったら、皆さんに温かいうちに召し上がって頂きましょう?」
「あぁ僕がいたら食事が進まないね。飲み物も色々ご用意しておりますのでお声がけください。ではごゆっくり」
女将と宏紀が部屋を去った。
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