ふたり のはじまり

4/5
前へ
/110ページ
次へ
田代宏紀(ひろのり) 4歳年下の妻の菜々美とは社内恋愛で結婚した。 新卒入社の菜々美に一目惚れし、押して押して押しまくり念願叶い付き合いはじめた。 営業部に彼女と同期入社の後輩がいた。 「田代先輩、総務の眞木さんとお付き合いしてるんですか?」 「そうだよ、苦労して口説き落としたんだ」 菜々美と付き合えるまでどれだけ努力したかお前にわかるまい。 「さすが田代先輩ですね、氷の女王を口説くとは」 「氷の女王⁈」ものすごい単語が出てきたぞ 「彼女、有名なお嬢様大学出身ですよね?ミスコンで準ミスのひとりでしたもんね」 「え⁈そうなの?知らないよ!彼女何も言わないし」 「でしょうね、ミスコン自体全く興味ないって感じで周りから『氷の女王』と呼ばれていましたよ。本気だったら名実共に女王になれたのに」 「お前他校のミスコン見に行ってたの?」 「あの女子大のミスコンは女子アナとかタレント輩出してますからね、推しの青田買ですよ。内定式で見かけた時は驚きました」 驚いた。かわいいと思っていたが。 俺の独占欲が功を奏し菜々美が勤めて2年目、妊娠をきっかけに結婚した。 菜々美は退職し、専業主婦となった。 俺だけの菜々美だ。 妊娠中の体調が思わしくなく、華燭の典ともいかず。 フォトウエディングも計画したが、入籍だけの超地味婚になった。 ドレス姿の綺麗な菜々美を自慢したかったのに。 その後生まれた一人息子の駿介は今年4歳。 ひとりっ子のせいか、男の子にしてはおとなしい。 子育てや家のことは妻に任せっぱなしで申し訳なく思うけど、仕事も家庭も順風満帆だ。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!

685人が本棚に入れています
本棚に追加