邂逅〜和やかなとき〜

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自分で料理も後片付けもしない、非日常を堪能した。 思いがけず前夫に会い、昔話が出来た。 顔を見たら悲しい、憎い、辛いそんな負の気持が蘇ると思っていたけど…日にち薬だわ。 「さーて帰る準備はじめるぞー」駿介の声に皆からはーいと返事の声が上がる。 車に積む荷物ある?うちの車に積んでいくよ? ありがとう、サドルバックに入るから大丈夫かな? 皆それぞれバイカースタイルになり本館に集まった。宏紀がフロントの奥から出てきた。 「わぁ皆かっこいいね」 「休憩ポイントのSAからは俺と紗弥加が車とバイク替えて走るんだよ」 「お嫁さんもバイカーなのか。じゃあのマカンが駿介の車?」 「そうだよ、紗弥加に頼み込んで納車されたばっかり」 「男の子達は車のこだわり強いわよね」 「ほんと、そうですよね」紗弥加の答えに後ろの方で香菜子さんも頷いていて笑った。 宏紀の車のこだわりも健在らしい。 佳佑が「帰り際に改めて、になりますが」と名刺を渡した。 「あぁ浅野さん…そうでしたか!商社最年少役員誕生のお噂は会社員当時耳にしました。今は専務取締役…素晴らしいですね。ご縁が出来光栄です。是非またお越し下さい、お待ちしております」 紗弥加が運転する車を見送り、駿介を先頭に菜々美、佑菜、佳佑のハーレーが次々と旅館を後にした。 小さくなっていく菜々美達を見送りながら「香菜子、ありがとう、たくさん気を使わせたね」宏紀が礼を言った。 「いいえ、素敵な方でした菜々美さん。ご家族も気持ちの良い方たちで。あんなに素敵な方を2度も裏切ったなんて本当信じられない」 「香菜子、だからもうほんとにそれは…」 「ふふふっごめんなさい、たくさん後悔して反省したんですものね?菜々美さんが素敵な方だったのでヤキモチ妬いただけです」 「ありがとう香菜子、僕らもずっと仲良くいような?」 菜々美も宏紀も背負っていた悲しみや苦しみを降ろす事ができた奇跡のような週末だった。
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