エピローグ〜還暦のふたり

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怪訝な顔をしていたのだろう。 駿介が苦笑しながら「母さん、大丈夫だから!開けて?」と手を促す。 「お義母さん、絶対お似合いですから!」 「そうよ、ママ早く開けみて!」 佳佑が先に箱を開けプレゼントを取り出した。 「お!カッコイイな!」と広げて見せる。 赤い革のダウンベストだ。 後ろに半円の模様がペイントされている。 ベストの内ポケットにも佳佑の名の刺繍が施されていた。 「菜々美見てみろ、凝ってるぞ」 駿介が親父、キャップ入ってない?佑菜のデザインなんだけどと箱の中を覗く。 同じ赤い革のキャップ、後ろのアジャスターベルトに小さく『N Love’s K』と刺繍が入っている。 菜々美も箱を開けプレゼントを広げる。 佳佑とお揃いの赤い革のダウンベストとキャップ、私のベストの後にもやっぱり半円模様? 私のキャップには『K Love’s N』とハートの刺繍が。かわいい…思わず口にした。 「ママ、気に入った?」キャップに入った刺繍も佑菜のチョイスらしい。 「とっても!可愛いわ」 菜々美着てみよう?と2人でベストを着てキャップを被り駿介達に見せた。 「パパ、ママこのベスト、ふたり並ぶと完成なのよ」 「完成?」 「向こう側向いて並んでみて?」 言われて佳佑と皆に背を向けふたり並んでみた。 後ろから「かわいい!」と声があがる 「かわいいってなんだ?」「なにかしら?」 「ほらパパ、ママ見て?」 佑菜に見せられたスマホには佳佑と並んだ後ろ姿が映っていたが、ふたりが並ぶとハートが出来ている。後ろの半円ペイントはハートの半分だったんだ。 覗き込んだ佳佑も「なるほどな」と感心している。
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