ふたり のはじまり

1/5
631人が本棚に入れています
本棚に追加
/110ページ

ふたり のはじまり

10年前11月の佳き日。 1年半お付き合いをした彼と入籍した。 彼とは社内恋愛。 彼に傅かれ望まれ彼の苗字となった。 優しい彼と 一生を共にする とふたり誓った。 授かり婚だった。 「初孫だ」と喜ぶ両親の姿が懐かしく思い出される。 お腹が目立たないうちに挙式をと彼は希望した。 けれど私のつわりが重く計画は出産後に延期された。 つわりがおさまりしばらくすると切迫早産の疑い有りと入退院を繰り返した。 オロオロと心配する彼の姿に愛されていると感じていた。 なんとか正産期を迎え夫となった彼に見守られ出産。 元気なかわいい男の子が生まれた。 生まれた息子の顔を見た彼の涙を忘れる事はないかもしれない。 男子誕生に、ことの他義父が喜び駿介と命名した。 義父が名付けを買って出たのでどんな名前になるかとドキドキしていたが呼びやすく良い名を付けてもらった。 産院の個室には両家の両親と夫と私、大人6人が額を寄せ合って駿介を見ていた。 今思い出しても、しあわせな光景だと思う。
/110ページ

最初のコメントを投稿しよう!