3.僕に転校生が舞い降りた

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「今日、転校生がやって来るんだって」 「その転校生って、男? それとも女?」 「聞いて驚け。なんと女だ」 「フゥー、やりぃー!」  どうやら彼らは転校生のことではしゃいでいたようだ。そんな彼らに対し、クラスの女子たちは機嫌の悪そうな顔をしている。  そんな喧騒の中、僕は話題の転校生に境遇を重ねていた。 (もしかしたら転校生は今の僕みたいに、クラスに馴染めなかったかも)  勝手に推測しているが、これはクラスに馴染めてない僕にとって、友達をつくる絶好のチャンス。転校生と交流することで、豊かな学校生活を送れるようになるだろうか?  そんな望みを持った所で、HRの時間がやって来た。  扉が開くと、顔面を真っ青にした担任がやって来た。 「ととと、とても急ですが、今日はこのクラスにててて、転校生が来ます……。皆さん、そそそ、粗相のないように」  転校生を迎えるにしては、尋常ではないほどの震えぶりを担任は見せている。担任をここまでにさせる転校生とは一体……。  それとは対照的に、生徒は大いに盛り上がった。  男子生徒を中心に、『粗相のないように』という担任の注意をどこ吹く風と聞き流している。担任は何度も静かにするように注意するが、微塵も静かになる気配がない。  やがて担任はこのグダグダな状況を終わらせにかかった。
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