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1.やっぱり今回も駄目だったよ
「ああ……。空音美と付き合っていた中学時代に戻りたい……」
僕こと實善幸就は去年の8月26日、鹿児島県鹿屋市の公園で元カノの後藤空音美に別れを告げられた。
僕は不意に左手で、左眼――眼帯で覆っている――に触れた。
この左眼は僕と彼女が別れてしまったきっかけであり、そして、拭うことのできない過去へのドアでもある。
僕はそのドアに手をかけ、幸せと悲しみに満ちた中学時代へと入り込んだ。
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