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左眼に触れつつ空音美との思い出に浸っていると、カラスの鳴き声が聞こえ始めた。その鳴き声につられて空を見上げると既に夕方になっていた。
チラリと腕時計を見るとすでに16:50を指し示している。
「……そろそろバイトに向かわなきゃ」
17時から始まるバイトが迫っていることに気づいた僕は、公園を後にした。その足取りは重く、ペース的にはギリギリで着くくらいのものだった。
「……ハァァ~」
2054年の鹿児島県鹿児島市。
ゴールデンウィーク――映画やショッピング、旅行などを満喫できる数少ないスイートドリームな連休――の最終日に公園で1人、盛大な溜息を吐いて捨てた男子高校生がいた。
そう、僕です。明日から世界が消えるような悲痛の顔で、バイトの10分前まで公園に突っ立っていた僕は、ニュー・クリア高校1年生の實善幸就でございます……。
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