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「…なあ、どないな事、してくれんの?」
…マズイ。
ひっじょーにマズイわ。
ほんの冗談のつもりだったのに。
私、踏み抜いたかも。
サディストって言う、藤次さんの地雷。
*
「なあ、いつまでこうしとれば俺ええのん?早よしてや。「めちゃくちゃエロいイタズラ」」
「う、うぅ…」
…ことの発端は、少し前に戻る。
「(ああ…もうクタクタや。絢音メシ〜)」
「(トリックオアトリートーーー!!!)」
「(!!?)」
バアと、白いシーツを被って、玄関の引き戸を開けた藤次を驚かした絢音。
彼女が口にした「トリックオアトリート」は、ハロウィンの今日、日本のあちこちで囁かれている「お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ。」と言うまじない。
普通なら、なんやびっくりするやーんで終わりだが、次の絢音の発言が、疲れ切って余裕の無かった藤次のサディストな一面を呼び覚ます。
「はーいご主人様!お菓子はお持ちですかー?なーいーと、めちゃくちゃエローいイタズラ、しちゃいますよー?」
「…………」
「?…と、藤次さん??」
頭にハテナを浮かべる絢音に構わず、藤次は玄関の引き戸を閉めると鍵をかけ、すぐさま彼女との距離を詰め見下ろす。
「えっ?!えっ?!」
「…何がえぇや。一日中やれ聴取だ裁判だ捜査だと時間に追われて疲れて帰って来てみたら、何やえろうご機嫌さんやん。…菓子なんて買う余裕あるかい。ホラ、さっさとめちゃくちゃエロいイタズラ、してみ?お子ちゃま。」
刺すような冷たい言葉と視線。
何より、一人称が「ワシ」から「俺」に変わったら、恐らくベッドで共寝をする時に垣間見せる…サディストという彼の剥き出しの本性に、絢音は激しく動揺する。
「い、いやあね藤次さん!ち、ちょっと驚かせただけじゃない!!謝るわ。ごめんなさい!ホラッ、ご飯に…ひゃっ!!!?」
ドンと、顔の横の壁に手を突かれ、絢音の心臓は一気に跳ね上がる。
「はぐらかすなや。ホラ、何や?いつまで経ってもへったくそなフェラか?それとも、その申し訳程度の胸で挟んで扱くか?早よ、して。」
「〜〜〜ッッッッ!!!!!」
耳元の弱い部分に息がかかるように囁かれて、恥ずかしくて恥ずかしくて、言ってしまった後悔を激しくしながらも、このままでは藤次の機嫌は治らない。
観念したように、絢音はチュッと軽く藤次にキスをして俯く。
「…これが、私にできるめちゃくちゃエロいイタズラ…です。もうこれで、許して…」
潤んだ瞳で上目遣いで見つめて乞う妻に、藤次はハッと笑い、優しく頭を撫でる。
「さよか。まあ、ちょお物足りひんけど、その可愛さに免じて、負けといたるわ。」
「あ、ありがとう!!」
と、助かったとばかりに笑顔になって居間に行こうとする絢音を、藤次は後ろから抱き締める。
「へっ?!!?」
「そやし、今度はワシの番や。お菓子、あるのん?」
「えっ、あ、その…」
しまったと動揺する絢音の態度に、藤次の口角が妖しく上がる。
「ほんなら、めちゃくちゃエロいイタズラ、決定やな。幸運にも明日は休み。寝かすどころかベッドから出られんようにするよし、覚悟決めや。俺の可愛い絢音…」
「と、藤次さん…」
ほんの可愛い冗談のつもりが、思わぬ地雷のスイッチを踏んでしまった絢音は、藤次の発した言葉通り、昼も夜もわからない位激しく濃密に抱かれ、暫くご近所を歩けない程、真っ赤なキスマークを身体中に付けられたとか何とか。
何はともあれ、ハッピーハロウィン❤︎
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