ずるいよ、五十嵐くん。

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 大きく首を捻ってしまう。  ……さっきから、そんなこと私に聞いて楽しいのかな?  うーん、と顎に手を当てて考え込む。  好きなタイプとか、あんまりちゃんと考えたことなかったなぁ。今まで、彼氏なんていたことなかったし……。まぁ、でも好きな人はいたよね。  とりあえず、小、中で好きになった人達の顔を思い浮かべてみた(ちなみに高校に入ってからはまだいない)。顔……は別に何でもいいなぁ。大事なのは、やっぱり性格。あ、そうだ。ムードメーカー的な人を好きになりやすかったなぁ。面白くて、よく喋る人とか。  ――私と真逆の人かな。  たぶん、自分にはないものを持ってる人が好き。  だって、尊敬できるから。  今度はすぐに既読がつかなかったので、スマホをしまい、また読書に集中する。けど、数分後にまたメッセージがきた。  ――なるほど。わかった。  ……だ、だから何がっ!?  もう。本当、五十嵐くんって掴めないなぁ。  でも、当然だよね。私とは、住む世界が違う人だから。    とりあえず読書を再開しようと、既読はつけずにスマホをしまう。再び本の世界にいこうとするけど、頭では自然と五十嵐くんのことを考えてしまっていた。  ……真逆の人、って……五十嵐くんもでは?  いやいやいや、とひとり首を横に振ってしまう。  私と五十嵐くんとじゃ、釣り合わないって。そもそも、私は先輩とかの方が憧れなんだよね! そうそう。……って、勝手に脳内で私なんかに振られてる五十嵐くん可哀想。私のことは何とも思ってないに決まってるのに。だって、女の子ともよく喋ってるし、こういうメッセージのやり取りだって、きっと何人ともしてるんだ。  ちょっと仲良くしてもらってるからって、思い上がるな、私。  そう自分に言い聞かせ、文字を睨みつけるも、どうしても頭に五十嵐くんの顔が浮かんできてしまう。    ……もうっ! 変なメッセージなんか送ってくるのが悪いっ!
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