最後の1人

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そんな中でも今日試食したチョコレートは奈穂のお気に入りだった。 ちょっと高級なチョコレートなので普段は滅多に口に入らないのだけれど、誕生日になればここのチョコレートケーキをおねだりしている。 口の中に残る芳醇な甘い香りを楽しみながらレジを通り、1階へ向かう。 せっかくここまで来たのだから他にも色々見て和まりたいけれど、残念ながらそんな時間もお金もない。 きらびやかなな店内で目移りしてつい立ち止まってしまいそうになる中、早足で出口へ向かう。 と、そのときだった。 見知った顔を見つけて奈穂の歩調が緩まった。 香水コーナーに立ち止まっているのは奈穂と同じ中学の制服を着た生徒だ。 誰だろうと思って近づいてくと、同じクラスの豊であることに気がついた。 豊が香水コーナーでなにをしてるんだろう? 好奇心から奈穂はその場に立ち止まって様子を伺っていたのだ。
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