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出口がなくて呆然と立ち尽くしてしまったとき、珠美がなにかに気がついて声を上げた。
珠美は早足で教卓へと向かって、その上に置かれているものを手に取る。
蛍光灯の光でキラリと光るそれは……ナイフだ。
カバーもなにもつけられていないナイフが、教卓の上にポツンと置かれていたのだ。
「なにそれ。なんでそんなものがあるの?」
学校内にあってはならないものに奈穂が混乱の声を上げた。
包丁やカッターナイフならまだわかる。
どれも授業で使うものだからだ。
だけど本格的なナイフなんて授業でも使うタイミングはないはずだ。
奈穂は無意識の内に一浩へ視線を向けていた。
この4人の中では一番目立つ、派手なタイプの一浩だ。
一番ナイフを持っていそうな雰囲気だった。
「違う、俺じゃない」
奈穂からの視線に気がついて一浩が左右に首を振る。
「そもそも俺たちは何も持たずにここで目が覚めただろうが」
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