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それを見ていると一気に疲労感が溢れてきて、私も普段の自分の席に座った。
机に突っ伏して目を閉じるとそのまま眠ってしまいそうだ。
このまま眠って目が覚めたときに自分のベッドの上に戻っていればいいのにと考える。
本当に眠気が襲ってきそうになったそのときだった。
かすかに音が聞こえてきて私の意識は覚醒していく。
それはカッカッという、聞き慣れた音だった。
確かに聞き慣れている。
だけどそれがなんの音だったのか、思い出すまでに少し時間が必要だった。
そして音の正体を思い出すと同時に奈穂は顔を上げてみた。
みると豊と珠美のふたりが棒立ちになって青ざめている。
その顔は同じ方向を向いていた。
奈穂も自然と同じ方向を向き……そこで音の正体を知った。
それは先生が黒板にチョークで文字を書いているときの音と同じものだったのだ。
そして今、チョークがひとりでに浮いて黒板に文字を刻んでいっている。
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